海外との交流・情報発信
セミナー
環境公益訴訟と被害者救済
インドにおける環境公益訴訟
Mahesh Chander Mehta (インド・弁護士)
参考資料(レジュメ)
[要約]
環境法体系への貢献
インド最高裁判所においてメータ氏が起こした訴訟を契機として、憲法の枠組みに環境保護を包含するために、新たな政策ガイドラインが設定され、既存の法の適用範囲と権限領域が拡大されてきた。M.C メータが訴訟した事件においてインド最高裁判所が下した重要な原則とガイドラインには次のようなものがある
- 憲法第32 条のもとで補償を認める裁判所の権限「 第32条のもと、裁判所の管轄権と権限は、その権限の範囲内で差止めを行う、つまり、基本的権利の侵害を防止するだけでなく、救済的権限を有する。かかる救済策を与える権限には、適切な事例において補償を与える権限も含まれる。」
- 第21条–生存権に清潔で健康的な環境に対する権利が含まれるように、適用範囲と権限領域を拡大。
- 不法行為法: 有害で本質的に危険な過程に関与する企業の厳格・絶対責任。これら全ての科学技術の進歩がなかった時代に展開された-ライランズ対フレッチャー事件のルールは現代の経済・社会構造の憲法規範に沿う指針を与えることはできない。
- 法体系と法律は、変容する社会経済規範と歩調をあわせるべきであり、ある法律が現在の状況にそぐわない場合は、裁判所が新たな法を発展させるべきである。
- 公益訴訟の擁護性:個々の裁判官宛の手紙が受理されるか否か -この裁判所によって高度にテクニカルなアプローチは回避されるべきである―裁判所は形式をみるのではなく、実体をみなければならない。
- 有害な産業立地;人口が密集していない地域での化学ならびにその他有害な産業の立地に関して、国家政策は進歩すべきである。好ましくは、そのような有害産業の周辺に1kmから5kmの幅の緑地帯があるべきである。
- 環境訴訟の結果、インドの環境法体系の産物として、「汚染者負担原則」、「予防原則」、「公共信託法理」がインドの環境法体系の不可欠な部分として組み込まれた。
- 環境裁判所 – 環境汚染、生態系破壊、天然資源をめぐる事件がますます増加している。さらに、訴訟に至る天然資源をめぐる紛争も増加しており、かつ、これらの訴訟には科学技術的データの評価と進歩が関係するために、特別な環境裁判所を設立することが望ましいかもしれない。
- 彼の努力と彼の訴訟により、インド各地の高等裁判所において環境法廷を設立するよう指示が出された。
- 環境保護法のもと、汚染の規制と現在進行中の無計画な開発を監視することを目的としてさまざまな行政庁が設立された。これは、彼の訴訟を発端として、インド最高裁判所の指示によりインド政府が設立したものである。
マヘシュ・チャンダー・メータ(M.C. メータ)
インド・ニューデリー最高裁判所所属弁護士。
表彰・受賞履歴:UNEPグローバル500賞(1993年)、 アジア地域ゴールドマン環境賞(U.S.A.)(1996年)、ラモン・マグサイサイ賞(公共サービス部門)(1997年)、公益環境法会議・ケリー・リュードベリ賞(U.S.A.)(1998年)他多数、国内外にて受賞。
出版物:水質・大気汚染と環境法全2巻等、環境、法律、環境保護における市民の役割に関する論文多数。環境・人権訴訟を収録した3巻本が近日刊行予定。