あおぞら財団は、大阪市西淀川区をベースに、公害地域の再生をめざして活動している環境NPO(非営利組織)です。被害者・住民の立場から、地域と環境の再生に向けた調査研究、実践活動を創造的におこなっています。
大阪市西淀川区は阪神工業地帯に位置し、高度経済成長期、工場からの排煙と自動車からの排気ガスによる激しい大気汚染公害のために、「公害の街」と呼ばれました。多くの住民が気管支や肺の病気となり、ぜんそくの発作で死亡する人も多く発生しました。西淀川区内の人口約10万人にたいし、公害病と認定された患者が約7000人にのぼりました。
西淀川区の公害患者たちは1978年に電力会社や製鉄会社など、大手企業10社と国・阪神高速道路公団を相手に被害の補償と大気汚染物質の排出差し止めを求めて裁判をおこしました(原告総数726人)。全て解決するまでに21年かかったこの裁判では、企業や国の責任が司法の場ではっきりと認められました。1995年に原告患者と被告企業との間で和解が成立したとき、患者たちは「子や孫に青い空を手渡したい」という願いをかなえるために、受け取った和解金39億9千万円のうち、15億円を地域の再生、まちづくりのために拠出しました。こうしてできたのが、あおぞら財団です(正式名称=財団法人公害地域再生センター/1996年設立/環境省所管)。
裁判が終わっても、環境が改善されたとは言い切れません。道路公害は未解決であり、子どものぜん息患者はまだまだ増える一方です。そこで西淀川では、とりわけ、交通環境に着目し、自転車をいかしたまちづくりをめざして、自転車マップを地元の高校生たちと作成したり、勉強会を開催するなどしています。また、フードマイレージ買物ゲームといった食と交通と環境のかかわりについて学べる教材の開発と普及をおこなっています。
さらに、公害の経験を正しく世界や次世代に伝えていこうと、付属施設「西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)」を2006年に開設し、公害資料の収集・保存、情報発信をおこなうとともに、公害解決方法を学ぶ海外からの研修受け入れや、学校で公害被害者の声を伝える授業などをおこなっています。